ジュエリーとアクセサリー、どちらも指輪やネックレスなどを意味する言葉ですよね。
なんとなく、高いものがジュエリーで、安いものがアクセサリーだと思っていませんか?
ちゃんとした定義が何かを理解して使っている人は、意外と少ないかもしれませんね。
婚約指輪や結婚指輪といったブライダルリングは、一般的に売られているほとんどがジュエリーです。
宝石のことをジュエリーだと思っている人もいると思います。
でも、宝石のついていない結婚指輪でもジュエリーと言います。なぜでしょうか。
国語辞典でそれぞれ調べてみた
ジュエリーの意味
「宝石・貴金属類。 (三省堂 大辞林)」
宝石だけでなく、貴金属も含まれることがわかりますね。
ちなみに貴金属とは、金、銀、プラチナなどの貴重な金属のことです。
アクセサリーの意味
「装身具(三省堂 大辞林)」
装身具という言葉は、ジュエリーの意味にも出てきましたね。
指輪、ブローチ、ネックレス、ブレスレット、イヤリングなどの身に付けるもののことで、装身具=アクセサリーとなります。
これは、素材の制限などはありません。木や布やプラスチックでつくられたアクセサリーもありますよね。
ジュエリーはアクセサリーに含まれる
お互いの関係がわかったでしょうか。ジュエリーも装身具。アクセサリーの一種です。
ただし、宝石や貴金属を用いてつくられたものという条件が付きます。
図にしてみました。
分かりやすく動物で例えると、哺乳類とパンダです。
哺乳類がアクセサリーで、パンダがジュエリーだと思ってください。
哺乳類の中に、パンダが入っているということです。
これはジュエリー?
一般的にジュエリーとは「宝石や貴金属を用いてつくられたアクセサリー」ということになります。
ダイヤモンド+ゴールド
ダイヤモンドのついた金の指輪。これはアクセサリーであり、宝石と貴金属でできているためジュエリーです。
宝石のついていないステンレス製の指輪は、アクセサリーではありますが、ジュエリーではありません。(ステンレスは貴金属ではないため)
ダイヤモンド+ステンレス
では、ダイヤモンドのついたステンレス製の指輪はどうでしょうか?
宝石が使われているのでジュエリーと呼んで問題ないでしょう。それでも、異議を唱える人もいるかもしれません。
ジュエリーと区別するために、ステンレスジュエリーなんて呼び方をしているお店もあります。
キュービックジルコニア+シルバー
キュービックジルコニア(ダイヤを模してつくられた人造石)とシルバーの指輪はどうでしょうか?
人造石は、一般的に宝石ではありませんし、シルバーもプラチナやゴールドと比べると低価格です。
おそらく、商品としては一万円前後でしょう。
その価格でジュエリーと呼ぶのはおかしいと感じるかも知れませんが、シルバーは貴金属のため、ジュエリーに含まれます。
純度の低い貴金属
また、貴金属の純度の問題もあります。
たとえ貴金属をつかっていても、純度が低い低価格のものをジュエリーと呼ぶのはちょっと違いますよね。
あくまでも言葉としては、宝石か貴金属のどちらかが少しでも使われていれば、ジュエリーと呼んで問題ありません。
ですが、日本で商売をする場合は、日本ジュエリー協会の定める定義に従うべきでしょう。
日本ジュエリー協会による定義
日本では、「日本ジュエリー協会」がちゃんと定義を定めています。
ジュエリー用貴金属は、金、銀、プラチナ、パラジウムです。(化学的にはこれにロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウムを含みます。)
そして、装身具のうち、素材に貴金属、天然宝石を用いた宝飾品をジュエリーとしています。
(養殖真珠は厳密には天然宝石ではありませんが、1924年にパリで行われた真珠裁判によって養殖真珠は天然真珠とまったく同じものであると世界的に認められたという経緯があります。)
貴金属の純度については、JIS(日本工業規格)が定めた規格があります。
最低の品位区分は、金が37.5%、プラチナが85%、銀が80%、パラジウムが50%です。
CIBJO(国際貴金属宝飾品連盟)の定めた標準品位には、33.3%の金も含まれます。
なので、この品位区分を下回る純度のアクセサリーは、ジュエリーと呼ぶべきではないでしょう。
「プラチナジュエリー」と呼称するには、85%以上の純度が必要ということです。
55%のプラチナを使っている場合は、プラチナ550ジュエリーと、品位を加えて呼称しなくてはなりません。
(参考PDF:ジュエリー及び貴金属製品の素材等の表示規定)
日本のブライダルリングでは、プラチナジュエリーの定義を満たしたPt850以上のものがほとんどです。
ちなみに海外ブランドでは、Pt950というプラチナ95%の合金が多く使われています。
ファインジュエリーとコスチュームジュエリーの意味
ファインジュエリー・ハイジュエリー
より高品質、高品位なイメージを持たせるために「ファインジュエリー」「ハイジュエリー」といった言葉も出てきました。
これらには、実際のところはジュエリーとの明確な違いはありません。
ジュエリーの基本的な定義である「天然宝石、貴金属を使用」という条件を満たした物であれば、ブランドやショップによってそう呼ばれているようです。
高級な素材を使っていたり、デザインなどに力を入れているんだなくらいに思っておけばいいでしょう。
コスチュームジュエリー・ファッションジュエリー
コスチュームジュエリーやファッションジュエリーと呼ばれるアクセサリーがあります。
これらは、安価な合金や、人造の宝石などでつくられたファッション重視の装飾品のことです。
少しややこしいのですが、これらはジュエリーではありません。
レッサーパンダも名前にパンダがつきますが、パンダではありませんよね。
同じように、コスチュームジュエリーも、ジュエリーとつきますが正確にはジュエリーではありません。
ファッション性が低く、ファインジュエリーの単なる代用品の場合は、「イミテーションジュエリー」と呼ばれます。
セレブは盗難などのリスクを避けるために、普段は本物を金庫にしまい、偽物のフェイクジュエリーを身に付けることもあるそうです。
これらは、ブライダルリングなどのように、何十年も使用するような耐久性は考えられていません。
ずっと身に付けているとメッキが剥がれたり、変色したりとすぐに痛んでしまうこともあります。
何年かしてからでも、ジュエリーであるブライダルリングを購入することをおすすめします。