2019年は日本における合成ダイヤモンド元年とも言われています。
2018年11月28日にテレビ東京の「WBS(ワールドビジネスサテライト)」で、2019年2月13日に「日経スペシャル 未来世紀ジパング」でも特集されました。
海外では、環境や社会に配慮したエシカル志向の高いセレブに人気があります。
天然ダイヤと違い、環境破壊・児童労働・紛争ダイヤといった問題が無いためです。
多くのブランドでは、「ラボグロウンダイヤモンド」と呼称しています。
合成ダイヤモンドは偽物じゃなくて本物
合成ダイヤは科学的にも物質的にも、天然ダイヤと同じものです。
研究が進み技術が向上した結果、無色透明で宝石として使えるレベルになったのです。
天然か合成かの違いでしかない
地球内部で何億年も前に結晶しようが、ラボで人工的に数週間でつくられようがダイヤはダイヤです。
どちらも同じ炭素の結晶なので、物質的には同じものなんです。
天然マグロも養殖マグロも、どちらもマグロであることと同じです。
キュービックジルコニアは偽物
合成ダイヤとはキュービックジルコニアのことだと思っている人も多いですが、これは間違い。
キュービックジルコニアはジルコニアでつくられる合成石です。
ダイヤによく似た性質を持っているので、模造ダイヤモンドと呼ばれていました。
呼び方について
人工的に合成されたダイヤモンドのことを「合成ダイヤモンド」と言います。
「天然ダイヤモンド」に対して、「人工ダイヤモンド」「人造ダイヤモンド」「養殖ダイヤモンド」と呼ばれることもあります。
研究室で生成されることから、「ラボグロウンダイヤモンド」と呼ぶブランドが多いです。
日本ジュエリー協会では「合成ダイヤモンド」の表記を推進しています。
※当協会では天然ダイヤモンドと同じ特性や構造を有する人工的に生産されたものの日本語での呼称・表記は“合成ダイヤモンド”、英語での呼称・表記は“Synthetic diamond”としています。
http://www.jja.ne.jp/news/20181228.html
合成ダイヤモンドの作り方と見分け方
中国工場のHPHT合成ダイヤモンド製造機
製造方法はいくつかありますが、宝石として使える大きさを作れるのは次の2つです。
高温高圧(HPHT)法
天然ダイヤモンドができるのと同じように、炭素に高温と高圧をかける合成法です。
強力なプレス機で非常に高い圧力をかけてつくります。
化学蒸着(CVD)法
炭素を含むガスを分解して、平らなダイヤモンド種結晶の表面に薄く積み重ねる方法です。
化学気相成長法とも呼ばれ、雪が降り積もるようにできあがります。
HPHP法より小型の装置で済み、安くつくれます。
肉眼で見分けるのは不可能
鑑定士でも天然と合成を鑑別するのは難しいです。
実際に中古買い取り店が、天然のダイヤモンドと間違えて買い取ってしまうケースが頻発しています。
ダイヤモンドが本物かを判定するテスターでも見破れません。
生い立ちが違うだけで、本物のダイヤだからです。
高価な専用の判定器を用いる必要があります。
窒素をほとんど含まないⅡ型のダイヤモンドであるか、ケイ素やニッケルなどの不純物が含まれるかといった特徴から、総合的に判断する必要があります。

あのデビアスが合成ダイヤの販売を開始
天然ダイヤモンドの世界最大手であるデビアス社が2018年5月30日に大きな発表をしました。
合成ダイヤモンドジュエリーの新ブランド「Lightbox(ライトボックス)」の立ち上げです。
これにより、それまで天然以外に否定的だったジュエリー業界の中に、ポジティブな意見も増えてきています。
デビアスとしては、天然ダイヤよりも思いきり安価に販売することで、市場をはっきりと分ける狙いがあります。
ブライダルリングなどを購入する人はこれまで通り天然ダイヤを、ちょっとしたファッションジュエリーが欲しい人は合成ダイヤを、といった具合いです。
そのために、Lightboxという別ブランドをわざわざ立ち上げたのです。
キュービックジルコニア(模造ダイヤ)に代わるものとして大きな需要があるでしょう。
安価なアクセサリーを購入していた人たちが、ジュエリーに興味を持つきっかけにもなりますね。

いつかはダイヤモンドもそうなるのかもしれませんね。
日本で合成ダイヤモンドを購入するには
今のところ、デビアスの「Lightbox」のジュエリーが購入できるのは、オンラインとアメリカの期間限定ショップのみ。
その他の合成ダイヤモンドなら、日本でも購入できる販売店があります。
ほとんどの企業は、主にアメリカの「DIAMOND FOUNDRY」から合成ダイヤを調達しています。
映画「ブラッドダイヤモンド」で主演をつとめたレオナルド・ディカプリオが出資していることでも知られている会社です。
Pure Diamond(ピュアダイヤモンド)

Pure Diamond - https://www.purediamondjapan.com/ -
合成ダイヤ専門の輸入商社で、天然ダイヤを扱う株式会社APの別会社。
この会社が「ラボグロウンダイヤモンド」の商標登録をしていますが、独占せずに他社に解放しています。
株式会社APが運営する「AFRICA DIAMONDS」の直営2店舗、六本木ヒルズ店と東武池袋店で取り扱っています。
SHINCA(シンカ)

SHINCA - https://shinca-shop.jp/ -
150年の歴史を持つ株式会社今与(いまよ)による、日本で初めての合成ダイヤブランド。
今与は、ICHAROI(イサロイ)などのブランドを扱う企業です。
2018年10月1日に、「SHINCA」のアイテムはIMAYO京都御池店とオンラインショップで販売開始。
0.18カラット以上のダイヤには鑑定書が付き、中石に1カラット以上のダイヤが使われている製品にはサリネ・テクノロジー社のサリネレポートが付きます。
婚約指輪としても十分な存在感を持つリングが数多くラインナップされています。
Sustaina(サスティナ)

Sustaina - https://sustaina-web.jp/ -
ウエディングドレスのレンタル会社「ブライダリウム ミュー」によるブランド。
日本で初めてブライダルジュエリーとして合成ダイヤを扱い始めました。
ウェディング業界とはいえ、ジュエリー以外の業界からの参入ですね。
「ブライダリウム ミュー」銀座店の中にあります。
ルース(裸石)だけで購入することもできるので、他のショップへ持ち込むことも可能です。
ピンクダイヤの取り扱いもあります。
H&D(エイチアンドデイ)

H&D - http://www.happiness-d.co.jp/ -
ファッションブランド「ハピネス&デイ」によるオリジナルブランド。
財布やジュエリーを扱うH&Dの中の商品として、ラボグロウンダイヤを使ったジュエリーを取り扱っています。
指輪は、ハーフエタニティのプラチナリングが2種類あります。
ブランドショップハピネスは全国のイオンモールに出店しているので、実物を見たい方はお近くの店舗へ。
まとめ 相手に押しつけるのはNG!

特にエシカル消費に興味のある人たちは自然と受け入れていくはずです。
ただ、自分が気に入ったからと言って相手に押しつけるのは止めましょう。
特に婚約指輪の場合は、天然ダイヤモンドにこだわる人も多いです。