ミル打ち加工(ミルグレイン)の入った結婚指輪も人気があります。
派手すぎない輝きはアンティークな雰囲気もありクラシカル。
ツヤを消すマット加工と合わせるとシックで落ち着いた印象になり、男性にもぴったりです。
婚約指輪との重ねづけも、華やかで素敵です。
ミル打ち(ミルグレイン)とは?
ミルグレインの意味
ミルグレイン(milgrain)とは、ラテン語で「千の粒」という意味です。
お菓子のミルフィーユのミルと同じ語源ですね。千の、たくさんのという意味があり、その連なる様子から、長寿、子孫繁栄、永遠の愛などの意味が込められているので結婚指輪にもぴったりです。
技法や道具について
基本的には熟練した職人が手作業でひとつひとつ粒を打ち込んでいきます。
釘を打つように、たがねと呼ばれる工具をハンマーで叩きます。
先端が凹んでいるたがねは、球ぐり、ナナコ(魚々子)などと呼ばれます。魚々子は打った跡が魚卵に似ているためそう呼ばれます。
非常に小さいものは、ローレットという歯車になっている器具を使うこともあります。角度を変えて何周も擦るように型押しすることで立体的な粒を形づくります。
ワックスというロウの型の段階でミル打ちの模様を機械などで入れてから鋳造(鋳型に熱で溶かした金属を流し込む技法)する方法もありますが、通常は金属の指輪にミル打ちをします。
粒金技法(グラニュレーション)との違い
見た目のよく似た技法として、金属の小球をくっつけて装飾する「粒金技法」があります。
粒金は球体なので、より立体的な表現が可能です。
紀元前3000年ごろのエジプトで発祥したと言われ、古代エトルリアで全盛期を迎えたその技術は、最小0.18ミリという小ささ。
高度な技術は歴史の中で失われてしまいましたが、19世紀にイタリアでカステラーニ一族が一時的に復元しました。
現在では日本の手塚巌氏がプラチナでの粒金にも成功しています。
ただ、ガスバーナーも無かった紀元前の時代に、どうやって金の粒を接着していたのかは謎のままです。
主なデザインのバリエーション
どうラインを打つのか、どんな形を打つのか、さまざまなデザインのパターンがあります。
ミル打ちのライン
両サイド(上下)にぐるりと一周あしらったものが最もスタンダード。
真ん中に1本入ったデザインや、片側にだけ入ったデザインもあります。
斜めにあしらえば、ストレートラインの指輪でも、ウェーブラインのような柔らかさを演出してくれるでしょう。ダイヤモンドとの相性もぴったりです。
めずらしいものでは、全面に打ち込んだり、縦に入れたりすることもあります。
指輪の側面に入れると、自分からよく見えます。
もちろんウェーブラインやV字のフォルムにも良く合います。
粒の形もいろいろ
丸い形が基本ですが、いろいろな形が可能です。
ギザギザの形
おそらく最も売れているミル打ちの結婚指輪は「ティファニーのミルグレイン」でしょう。
プラチナのモデル(ティファニークラシック ミルグレイン バンドリング プラチナ)は、ギザギザとした山型で、シャープな印象です。
人によっては痛いと感じる人もいるかもしれません。購入時は気にならなかったけれど、太って指に当たるようになったという人もいます。
ピラミッド型
フラージャコーの初のミルグレイン仕上げは、2016年のモデル「マッターホルン」です。
粒ひとつひとつが四角錐、つまりはピラミッド型で、まさしくマッターホルンの山々を思い出させます。
ハート型
アイプリモの「ディオーネ」、スタージュエリーの「エターナルハート」のミル打ちは、なんとハートの形です。
ルーペなどでよく見ないと分からないのもポイント。ハートがぐるっと一周していて、まさしく永遠の愛です。
スター型
スタージュエリーの「エターナルスター」は、星の形。
スタージュエリーには他にも星をモチーフにしたリングがたくさんあります。
ミルグレインを入れる位置の高さ
ミル打ち部分の高低によっても印象ががらっと変わります。
平面上に打ち込むのが最もシンプルなミル打ちです。
他の面よりも高くするには、前もって高く作っておいた部分にたがねを打ち込みます。
プラチナとゴールドのコンビなどでは、真ん中が高くなっていて、ミル打ちの部分は一段低くなっているデザインが多いです。
ティファニーやフラージャコーもそのタイプで、ひっかかったり潰れたり傷がついたりしにくいというメリットもあります。
ミルグレインのデメリットと対策
汚れがつまりやすい
凹凸がある以上、プレーンの指輪に比べたら汚れがたまりやすいのは事実ですが、普通に使っていて気になることはほとんどありません。メレダイヤ周辺のほうが汚れは詰まりやすいです。
とはいえ指にはめたままハンドクリームやワックスなどを使うのは気になるかもしれません。
エタニティリングよりは神経質になる必要はありませんが、料理のときなどは外す人が多いでしょう。
付け外しするのが面倒なら、ある程度は汚れるのを前提にして定期的にクリーニングしましょう。
中性洗剤とやわらかい歯ブラシで清掃するだけでもかなり奇麗になります。
粒が潰れることがある
粒は半球状で、溝はそれほど深くはありません。タガネを打ち込んで突起をつくるということは、同じく強い衝撃や長年の摩擦などで潰れたりすり減ったりしてしまうということです。
特に純度の高いプラチナは柔らかく潰れやすいです。
純度を下げるか、硬い「ハードプラチナ」や「18金(K18)」の素材を使えば比較的安心です。
鍛造製法の指輪も硬度が高くなります。
サイズ直しができない
ミル打ちリングのデメリットとしてまず言われるのが「サイズ直し」のことです。
サイズ直しは指輪を一度切断する必要があるため、一周ぐるっと装飾されていると基本的にはやってもらえず、作り直して交換での対応となるブランドが多いです。
サイズ直ししやすいように、一周すべてにミル打ちするのではなく途中までにしたデザインもあります。
中には「うちは技術力が高いので、ミルグレインでもサイズ直しできます!」というブランドもあります。
サイズ直しができるブランドがいいなら、ケイウノがおすすめです。
ミル打ちの指輪でおすすめのブランド
K.UNO(ケイウノ)
デザインや金属の配合なども自由に選べて、ミル打ちのサイズ直しも可能。
TANZO.
キズの付きにくい鍛造製法でありながら、ミル打ちのデザインが可能。
銀座ダイヤモンドシライシ
細かくアレンジできる「Anolyu」シリーズでは、中央と両サイドのミル打ちが可能。
4℃ BRIDAL
鍛造製法によるパーフェクトプラチナシリーズにミル打ちリングがあります。
TRECENTI(トレセンテ)
ストレートの他にV字のミル打ちリングがあります。サイズ直しも可能。
I-PRIMO(アイプリモ)
通常のミルグレインの他に、ハート型のミルグレイン(センター1本ライン)も。
STAR JEWELRY(スタージュエリ―)
上下2本ラインでハート型のミル打ちが良いならSTAR JEWELRYのEternal Heart。
Ponte Vecchio(ポンテヴェキオ)
中央1本ラインと、上下2本ラインのストレートリング「ミルアモーレ」があります。
エクセルコダイヤモンド
V字やリボンのような形など鍛造製法のミル打ちリングのデザインが豊富。
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