シルバーは、アクセサリーとしては人気ですが、結婚指輪や婚約指輪などのブライダルジュエリーにはまず使われていません。
ですが、2人が希望するなら、シルバーリングをマリッジリングとして使うのも自由です。
すでにシルバーのアクセサリーなどを愛用していて、その特徴を理解しているなら問題ないでしょう。
ただ、なんとなく安いからという理由なら、このページをよく読んでから決めてください。
男性側が、安いからシルバーにしようと言ったら、普通の女性は嫌がるでしょう。
目次
ブライダルリング専門店で売ってない理由
シルバーは若者向けのジュエリーとして人気ですが、ブライダルリング専門店では扱いがありません。
プラチナとゴールドが中心で、じつに8割の夫婦はプラチナを選んでいます。
これは、プラチナが高価で貴重なものだというイメージが強く、結婚という特別なイベントに相応しいと思われているから。
現実的なことを言えば、ジュエリーショップとしても高いものを売りたいですよね。
シルバーリングをぼったくり価格で売れば一番儲かりますが、シルバー製品が安価であることは周知の事実。
また、銀の金属としての特徴が結婚指輪向きでないということもあり、売る方も買う方も選びにくくなっています。
結婚指輪がシルバーだというのは、かなり珍しいと思ってください。
銀(Ag)の金属としての特徴
金属中で最大の可視光線の反射率をもっていることもあり、宝飾品として昔から利用されてきました。
金ほどではないものの薄くのばしやすいため、銀箔としても使用されています。
貴金属の中では化学反応しやすい金属で、空気中などの硫黄分と反応(硫化)して硫化銀の被膜をつくり黒ずんできます。
ヨーロッパの貴族が銀の食器を使っていたのも、銀が純度の低いヒ素などの毒に反応して変色するからです。
バクテリアなどへの殺菌力から、銀イオンは抗菌剤としても重宝されています。
写真のフィルムや印画紙にも使われています。(銀塩写真)
水銀のイメージから、銀は身体に悪いと思われがちですが、食用にも用いられます。
仁丹が銀色なのは、銀でコーティングされているからです。水銀と銀とはまったく別の金属なんです。
金属の中で最も熱伝導率が高いのも特徴です。
金やプラチナと同じく、金属アレルギーにはなりにくい金属です。
アクセサリーに使われる純度
シルバーのアクセサリーは、SV925(純度92.5%)がよく使われ、スターリングシルバーと呼ばれています。
「925」や「STERLING」「SILVER」などの刻印が入れられていることが多いですが、特に決まりはありません。
刻印が入っていないこともあります。
シルバーリングのメリット
価格が安い
デザインなどにもよりますが、1万円前後で購入することができます。
プラチナやゴールドの指輪が10万円程度することを考えれば、10分の1の価格です。
ボリュームのあるリングが選べる
シルバーリングにはごついデザインのものも多いです。
価格が安いからこそ、金属をふんだんに使うことができるからです。
プラチナだと、リング幅が広ければ広いほど値段がどんどん上がってしまいます。
いぶし銀を楽しめる
銀が黒ずむという特徴を逆手にとって、ハード系のデザインが多く作られています。
銀は光の反射率が高いので、ピカピカした部分と凹んだ黒い部分とのコントラストを楽しむことができるからです。
ガイコツや十字架といったモチーフもよく合います。
どのくらい磨くのか、自分で手入れするのも楽しいものです。
シルバーリングのデメリット
変色してしまう
いぶし銀を楽しむ目的でないなら、黒くなるのはデメリットでしかありません。
放っておくとだんだんと黒くなってしまいます。温泉に入れば、一発で真っ黒です。
大事にしまっておくより、ずっとつけていた方が常にこすれるために変色しにくいです。
どうしても変色が嫌なら、ロジウムメッキがかけられたものを選ぶといいでしょう。
シルバーの上にロジウムという金属を被せてしまうので、黒ずんでしまうことがありません。
ホワイトゴールドにかけられているメッキと同じものなので、見た目はホワイトゴールドと同じになります。
サイズ直しが難しい
銀は熱伝導率が高いため、指輪の一部のみを加熱しても全体が高温になります。
そのため、部分溶接をするためには基本的に石を外さなくてはなりません。
石を外せないもの、外しても爪を元に戻すのが難しいものはサイズ直しできないということです。
細いリングの場合は、石の部分を水に浸しながらサイズ直しすることも可能です。
高い技術力が必要のため、サイズ直しを引き受けてくれる工房は多くありません。
財産的な価値が低い
ゴールドやプラチナに比べ、シルバー自体の価値はそれほど高くありません。
銀の1gあたりの地金の買取価格は、94.60円です。
金が7,255円、プラチナが3,979円(キロバー建て)なので、桁が違うことが分かるでしょう。
(※2021年11月24日 09:30公表 田中貴金属工業株式会社|貴金属価格情報)
変わった人だと思われる
一般的には結婚指輪はプラチナです。
シルバーの人はまずいないので、珍しがられることを覚悟しましょう。
明確な理由がなければ、「個性的なのね」「お金が無かったのね」と感じる人もいると思ってください。
他人の目を気にしない、むしろ注目して欲しいのならおすすめです。
とはいえ、全体が磨かれた指輪では見た目でプラチナとシルバーとを判断するのは難しいです。
普段使いの注意点とお手入れ方法
黒ずんでしまう「硫化」
硫化とは、硫黄と反応することです。硫黄を含む温泉に入れるのが一番まずいです。
空気中に含まれる硫黄分にも反応してしまうので、温泉地ではしまっておきましょう。
ただ、自動車の排気ガスなどにも微量の硫黄成分が含まれているので、防ぎようがありません。
しかも、人間の汗にも硫黄成分は含まれています。
黒ずみがなかなかとれない「塩化」
硫黄だけでなく、塩素とも反応して茶色や黒色に変色します。
よくあるトラブルが、塩素系漂白剤がかかって黒くなってしまうというもの。
中には綺麗にしようと思って漂白剤に浸けてしまったなんてひとも。
ポケットに入れたまま洗濯してしまうのもあるあるです。とにかく漂白剤には注意です。
プールの塩素や、海水、汗にも気を付けてください。
日頃のお手入れ・メンテナンス
日常使いする場合は、それほど変色は気にならないことが多いです。
というのも、手で触ったり服こすれたりすることで、自然と磨かれるからです。
クリーニングしても落ちない黒ずみは、シルバー磨きクロスなどで磨けば綺麗になります。
ダイソーなどの100円ショップでも磨きクロスが売っています。
ロジウムメッキがかけられている指輪の場合は磨くとメッキが剥がれてしまうのでNGです。
液体のシルバークリーナーもあります。
硫化による黒ずみは、液に浸けてすすぐだけで輝きがよみがえります。
ただし、塩化による被膜は強力で、普通のシルバークリーナーでは綺麗になりません。逆にかえって変色してしまうことも。
研磨剤かシルバークロスで磨いて被膜を削り取りましょう。
塩とアルミを使った黒ずみの落とし方
シルバーの黒ずみをピカピカにする裏技としてTwitterでも話題になった方法があります。
必要なのは、アルミ箔、塩、お湯だけです。
- 耐熱容器の中にアルミ箔を敷く
- アルミ箔の上にシルバーリングを置く
- 塩をまんべんなく振りかける
- 沸騰したお湯を注いでしばらく待つ
手順としてはこれだけ。
キッチンにある道具だけでできるというのもポイントです。
黒ずんだ硫化銀(Ag2S)が還元され、銀(Ag)に戻るという反応が起こっています。
銀よりもアルミの方がイオン化傾向が大きいため起こる化学反応です。
アルミが指輪の表面に付着するわけではないので安心してください。
空気に触れさせない保管方法
もし、しばらく使わずにしまっておく場合は、乾いた布やティッシュで良く拭いてから、ジップロックなどの袋に入れて密閉してください。
空気に触れさせないことで、硫化を防ぎます。シルバー専用の保存袋も売っています。
サランラップやクレラップなどの塩化ビニリデン製のものよりも、ジップロックやポリ袋などのポリエチレン製の袋の方が保管に向いているとされています。
挙式で使うだけという人にはおすすめ
指輪交換の儀式はしたいけれど、普段は身に付けるつもりがないという人にはおすすめです。
その場限りでかまわないなら、安く済ませた方がいいですよね。
レンタルで済ませようと考える人もいるようですが、そもそも貸してくれるお店はまずありません。
式場でもレンタルサービスを行っているところはほとんどないでしょう。
もし借りられたとしても、レンタル料を考えたらシルバーリングを買ったとしても大差ないでしょう。
レンタルの場合は指輪が手元に残りませんが、購入すれば思い出と共に残ります。
シルバーはしまっておくと黒く変色してしまうので、ロジウムメッキの施された指輪がおすすめ。
基本的にしまっておくだけなら、メッキがはげてくることもありません。
挙式のときだけと思って購入したのに、なんとなくつけ続けているという人も多いです。
本当はプラチナが良いなら
シルバーにしようとしている理由が「安い」からだとしたら、ちょっと待ってください。
探せばプラチナでもかなり安い指輪がみつかります。
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詳しくは次のページをごらんください。
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【予算別】5万円以下の安い結婚指輪を買ういろいろな方法
できるだけ低価格で買いたい方向けに結婚指輪を5万円以下で買う方法を紹介します。ペアで5万円、ひとつ5万円など予算別に解説。