丈夫で傷つきにくい結婚指輪を探していると、「ハードプラチナ」というのを目にしますよね。
ハードプラチナとは
簡単に言えば「硬いプラチナ合金」のことです。
「プラチナ95%、パラジウム2~4%、ルテニウム1~3%」で作られていることが多いです。
実は柔らかいプラチナ
プラチナはかなり柔らかい金属。そのままでは指輪などのアクセサリーには向きません。
そのため、他の金属を混ぜて硬度を上げる必要があります。普通はパラジウムという金属を割り金として混ぜます。
日本では、プラチナの純度が90%のPt900や、95%のPt950などがブライダルリングに使われています。
純度を上げれば価値が高くなりますが、柔らかく傷つきやすくなってしまいます。
割り金で硬さを出す
純度を上げても硬さを保つために、パラジウムよりも硬いイリジウムやルテニウムという金属を割り金に使用することがあります。
ちなみに、1kgの定義である「国際キログラム原器」は、プラチナ90%、イリジウム10%で作られています。
また、これらの金属の他に、銅やコバルト、タングステンなどを混ぜることもあります。ブランドによって独自の配合を研究しています。
同じブランドのラインナップにPt900とPt950とが並んでいることがあります。
その場合はPt950の方だけをハードプラチナにしていることも。
また、石を留める爪の部分にだけハードプラチナを使用する場合もあります。
細身のデザインや厚みの薄い指輪は耐久性が気になります。歪んでしまわないようにハードプラチナを使ったものにした方がいいでしょう。
ハードプラチナにはデメリットも
実は、Pt950のハードプラチナは加工が難しいんです。
そのため、複雑なデザインの指輪はあまりないかもしれません。
気に入ったデザインの指輪が、ハードプラチナとは限らないということです。
また、サイズ直しができず、交換での対応となるブランドもあります。
硬さの指標「ビッカース硬度(硬さ)」
主に金属の硬さを表す尺度のひとつ。
正四角錐のダイヤモンドを押し込んだときに、どのくらいの力でどのくらい凹んだかによって計算します。
この数字が高いほど、傷つきにくく歪みにくいということです。
自然界で最も硬いと言われるダイヤモンドのビッカース硬度はHv7000~15000です。
柔らかいイメージのアルミでできている1円玉がHv45。
10円玉がHv130、100円玉がHv150~160。
ステンレスのフォークがHv210です。
普通のPt900がHv80、Pt950がHv60。
ハードプラチナだとHv90~150程度と言われています。
ハードプラチナの指輪を扱っているブランド
特に決まりがないので、ブランドによってハードプラチナの定義も違います。
金属の配合だけでなく、鍛造や硬化キャスト製法など、製造方法によって硬度を上げているブランドもあります。
中には、Pt900のことをPt950よりも硬いという意味でハードプラチナと呼んでいるところもあるようです。
独自の配合や技術で硬いプラチナリングを作っているブランドを紹介します。
パイロットのUHP(ウルトラ・ハード・プラチナ)
万年筆メーカーの技術力を活かし、パイロットはジュエリーも製造しています。
純プラチナ(Pt999)でありながら、ビッカース硬度Hv200という硬さを実現した特許技術。他にも、加工をしやすくしたFHP(フレキシブル・ハード・プラチナ)など。
シチズンジュエリー
時計メーカーとして有名なシチズンも、その精密機器で培った技術で指輪を作っています。
最新技術によって、シチズンのPt999の強度は通常の約2倍となっています。
SORA
表参道に本店があるSORAは、完全オーダーメイドブランド。
金属アレルギーにも配慮してくれます。パラジウムをまったく使わないイリジウム割を主に使用しています。
ルテニウムを5%つかったPt950も可能です。
その他ブランド例
- 俄…独自に配合した一般的なプラチナよりも高い硬度のPt950を使用
- 銀座ダイヤモンドシライシ…独自の配合をほどこしたハードプラチナ
- カフェリング…Pt900(Pt90%、Pd8%、Ru2%)、Pt950(Pt95%、Pd3%、Ru2%)
- アフラック…通常の2倍の強度をもつPt900 SHP(スーパーハードプラチナ)
- GINZA TANAKA…Pt950 SSP(スーパーストロングプラチナ)
- トレセンテ…希少性の高いイリジウムとルテニウムを使用したPt950
中には「ハードプラチナ」だとわざわざ言っていないブランドもあるでしょう。
硬度が気になるなら「割り金は何ですか?」と指輪を選ぶときに聞くようにしましょう。
単にプラチナとしか書いてなかったり、質問しても要領を得ない場合はパラジウム割りと判断して差し支えないでしょう。
ちなみに、ゴールド(K18)の方が一般的なプラチナよりも硬いです。
18金は、金の純度が75%なので、割り金で硬さを十分に出せるからです。
まとめ
傷や歪みが気になるなら、やはり硬度を売りにしているブランドを選んだ方が安心です。
ハードプラチナでないなら、Pt950よりもPt900の方がいくらか傷が付きにくいです。
スポーツをするときや重い荷物を持つときなどに外すことで、傷が付いたり歪んだりすることをある程度防げます。
ただ、どんなに硬くても傷は付くという覚悟も大切ですね。
数年経てば、プラチナとハードプラチナの見分けがつかなくなると言う人もいます。
どんなアフターサービスがあるのかも含めて結婚指輪を選ぶようにするといいでしょう。
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