紛争ダイヤモンドとは、内戦が行われている国から産出されるダイヤモンドのこと。
「コンフリクト・ダイヤモンド」や「ブラッド・ダイヤモンド」とも呼ばれていて、内戦などの紛争を起こす反政府組織の資金源となっているダイヤのことです。
反政府組織は、武器商人から武器を購入します。その資金源として、宝石鉱山を占領し、そこから発掘された宝石を売っているケースがあるんです。
紛争ダイヤモンドの知名度
当サイトでは、ダイヤモンドを購入したことのある100名にアンケートをとりました。(2017年8月インターネット調査)
アンケート結果と合わせて解説します。
アンケート結果
紛争ダイヤモンドのことを「知っている」と「聞いたことがある」を合わせても、やっと46%と半数に届きません。
そもそも、購入したダイヤモンドがどこで産出されたものか、気にならないという人が多いのです。
とても気になるという人は6%しかいませんでした。気にする人は少数派と言えるでしょう。
映画「ブラッドダイヤモンド」で注目が高まった
2006年にアメリカで製作されたレオナルド・ディカプリオ主演の映画「ブラッド・ダイヤモンド」で、取り上げられたことでも、注目が集まりました。
そのキャッチコピーのインパクトが強いので紹介します。
color(色) cut(カット))clarity(透明度) carat(カラット) しかし、実は5つめのC
が存在することを、あなたは知る― ブラッド・ダイヤモンドのキャッチコピーより
コンフリクトフリーダイヤを購入するには
紛争と無縁なダイヤのことを、コンフリクト・フリー・ダイヤモンドと言います。
自分の買ったダイヤモンドが、人殺しの道具の資金源になっていたら嫌ですよね。
紛争地域のダイヤを購入することは、内戦を長引かせることに繋がります。
西アフリカのシエラレオネ内戦が1991年から10年以上続いたのは、産出されるダイヤモンドが資金源になったのも大きな理由です。
こういった状況をなくすため、紛争ダイヤモンドの流通を防ぐためのシステムが、国連や国際ダイヤモンド業界などによって制定されています。
キンバリー・プロセス証明制度
2003年1月に施行された紛争地域のダイヤモンド原石の輸出入を阻止するための国際証明制度。
参加国では、証明書の無いダイヤモンド原石の取引を禁止しています。キンバリー・プロセスに参加していない国からの輸入も禁止されています。
ダイヤモンド原石は、各参加国が発行したキンバリー・プロセス証明書が添付され、不正に開封できない密閉された容器で輸出入されます。
この制度によって、2000年には4%あった紛争ダイヤモンドが、現在では1%に満たない割合にまで下がったと言われています。
システム・オブ・ワランティ(インボイス)
キンバリー・プロセスは、原石の証明制度なので、カットされたダイヤモンドルースには適用されません。
ダイヤモンドルースには、システム・オブ・ワランティという制度があり、キンバリー・プロセスの参加国すべてが支持しています。
あくまでも自主規制ですが、研磨済みのダイヤを輸出するときに、インボイス(納品書)に宣誓文を記載するというものです。
インボイスに記載されたダイヤモンドは、国際連合会議を遵守し紛争への資金提供に関与しない供給源より購入されたものです。ダイヤモンドの販売事業として、当方が自身の認識に基づき、且つまた、供給者の書面による保証により、これらのダイヤモンドが紛争に関係のないことを保証します。
宣誓文の日本語訳
日本もキンバリー・プロセスに参加しています。そのため、日本で購入したダイヤモンドはどれもコンフリクト・フリーだと言えます。
ただ、キンバリー・プロセスもシステム・オブ・ワランティも輸出入時の書類のため、一般消費者にはあまり知られていません。
キンバリー・プロセスの問題点など
日本に入ってきているダイヤモンドは、書類上はすべてコンフリクト・フリーと言って良いでしょう。
むしろ、紛争ダイヤモンドを手に入れることの方が難しいです。それでも、確実に問題の無いダイヤモンドを手に入れられるという保証はありません。
制度を運用する能力のない国も
実はキンバリー・プロセスには、強制力や罰則がありません。
禁輸措置が発令されていても、その国の採掘がストップするわけではありません。加盟国が自主的に運用しているため、違法採掘を取り締まれるだけの能力が無い国も多いのです。
違法に採掘されたダイヤの原石は、非公式なルートによって外国へと密輸されていきます。
ダイヤは、私たちの手元に届くまでに、実に多くの人たちの手を渡ります。多くの仲介人、輸出業者、輸入業者、カット工場、ダイヤモンド市場などです。
この間に、不正なダイヤモンドを紛れ込ませることは難しくないでしょう。
ダイヤモンドはとても小さいため、国境の警備が甘ければ簡単に密輸できてしまうのです。密輸先で産出されたダイヤとして、正式なルートに乗せられても分からないのです。
また、紛争ダイヤモンドの定義を「反政府軍による活動」に限定しているのも問題だという声もあります。
児童労働や強制労働という問題
ダイヤモンドが紛争の資金源になっているかという問題とは別に、児童労働などの問題もあります。
子供がダイヤモンド鉱山で安く雇われ、搾取されている国があります。キンバリー・プロセスが開始されても、ダイヤモンド業界で働かされる子どもたちが減るわけではありません。
さらには、鉱山だけでなく研磨工場でも、学校へ行けずに低賃金で働かされる子どもがたくさんいるのです。
ダイヤモンドだけでない「ダーティーゴールド」も
ゴールドなどの貴金属にも同じ問題があります。
コンゴ民主共和国とその周辺国で採掘された貴金属は、紛争の資金源となっているため、紛争鉱物(コンフリクト・メタル)と呼ばれています。
アメリカは「ドット・フランク法」によって、企業に対して「スズ、タンタル、タングステン、金」の調達先を調べて開示させることで、コンフリクト・メタルの使用を減らそうとしています。
日本企業もこれにならい、コンフリクトメタルの調達方針などをサイトなどで開示しているケースがあります。
確実にクリーンな指輪が欲しいなら
フェアトレードやエシカルの意識が強いブランドから買う
「キンバリー・プロセス」と「システム・オブ・ワランティ」はどこのブランドも当たり前に順守しているものです。
もう一歩踏み込んで、その他にどんな取り組みを行っているのかで判断するようにしましょう。
「フェアトレード」や「エシカルジュエリー」といったキーワードがポイントになります。
フェアトレード
フェアトレードとは、公正な取引のことです。
途上国の商品を適正な価格で継続的に購入することで、労働者の生活改善などに繋がります。
エシカルジュエリー
エシカルとは、「倫理的」「道徳上」という意味になります。
フェアトレードとも近いのですが、「社会貢献」や「環境保全」に配慮したジュエリーのことです。
独自に現地のNGOなどと取引をしたり、フェアトレードの認証制度をクリアした素材を使ったりしているエシカルなジュエリーブランドはいくつかあります。
そういったブランドでは、どういった鉱山で産出されたのか、どんな研磨工場でカットされたのかまでを把握しているのです。
アフリカ以外のダイヤモンドを選ぶ
ダイヤモンドといえばアフリカのイメージが強いかも知れませんが、ロシア、カナダ、オーストラリアなども有名です。
アフリカ以外の産地証明書のついているダイヤモンドなら、まず紛争ダイヤモンドではないと言い切っていいでしょう。
例えばアイプリモでは、ロシアの国営ダイヤモンド研磨会社から供給を受けたダイヤモンドを、証明書付きで購入することができます。
ダイヤモンドのガードル部分にシリアルナンバーが刻印されているので、万が一にも他のダイヤモンドと入れ替わることがありません。
ダイヤの産地はどこか、アフリカ以外を選べるかなど、販売員に質問してみましょう。
ただ、アフリカ各国にとってダイヤモンドが大事な収入源であることも事実です。
ボツワナ共和国では、ダイヤモンド産業による収入のおかげで医療費と子どもの教育費が無料となっています。
必要以上にアフリカを避けるのも、フェアトレードの考え方に逆らうことになるかもしれません。
持っているジュエリーをリフォームする
買わないというのが、100%確実に紛争地域の資金源にならずに、環境も破壊しない方法です。
母親や祖母から譲り受けたダイヤモンドがあるなら、それを使って新しい指輪にリフォームするのも素敵ですよね。
持ち込んだジュエリーの宝石を使ってブライダルリングを作ってくれるリフォームサービスは、多くのブランドが行っています。
ケイ・ウノなら、宝石だけでなく貴金属部分の再利用も可能なので、ダーティーゴールドなどの心配もありません。
ラボで作られた合成ダイヤモンドを買う
工業用に使われてきた合成ダイヤモンドが、近年ジュエリーとして使用できるレベルになっています。
研究所で生成されるため、「ラボグロウンダイヤモンド」とも呼ばれています。
当然、紛争や児童労働などとはまったく無縁のエシカルなジュエリーです。
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宝石としての合成ダイヤモンドはあり?エシカルでサスティナブル
2019年は日本における合成ダイヤモンド元年とも言われました。 2018年11月28日にテレビ東京の「WBS(ワールドビジネスサテライト)」 ...
まとめると、こういうこと!
コンフリクト・フリーであっても、児童労働などの問題があることも。
ジュエリーの販売員に紛争ダイヤモンドやフェアトレードについて質問してみよう。
ダイヤの産地を選べるか聞いてみよう。
絶対にクリーンなブライダルリングにしたいなら、リフォームもおすすめ。
ダイヤモンドに限らず、フェアトレードやエシカルな消費について考えてみるのもいいですね。