当記事は2017年に初公開されたもので、内容も当時の状況を記しています。
2022年8月現在、金はより高騰を続け、ゴールドの指輪とプラチナの指輪とを同じ価格に改定したブランドが増えています。中にはゴールドの方を高値にしているところもあります。
プラチナ、ゴールドに限らず今後も値上がりする可能性が高いので、早めの購入をおすすめします。
同じブランドで、プラチナのマリッジリングの値段が10万円だとしたら、ゴールドのリングは7万円程度で売られています。
結婚指輪としてはプラチナの方が人気も価格も高いというのが常識になっていますが、そもそもなぜ18金の指輪よりも高額になのでしょうか。
プラチナにある高級なイメージ
プラチナとゴールドはどっちが高いのかちゃんと調べたことはありますか?
プラチナの方が価値が上の貴金属だというイメージがありますよね。
クレジットカードでも、ゴールドカードよりもプラチナカードの方がランクが上です。
プラチナの2017年の年間鉱山産出量184.2トンに対して、ゴールドは3,246.5トン。(トムソン・ロイターGFMS社が発行するGold Survey、Platinum & Palladium Surveyより)
プラチナはゴールドに比べおよそ17.6分の1しか産出されていません。
希少性から考えてもプラチナに軍配があがります。
「なるほど貴重なら価格が高いのは当然だ」と思ったかも知れませんね。
では、それぞれの相場を見てみましょう。
今はゴールドの方が相場が高い
現在の地金価格を比べてみましょう。
キロバー建て1g当たりの小売り価格(1キロで取引する場合の1g当たりの価格)は、プラチナが3,433円、ゴールドが4,969円です。(2019年5月8日現在)
そうです。実はゴールドの方が地金の価格は上なんです。
昔はプラチナの方が価格が高く、その状態が当たり前でした。
ところが価格が逆転する「ねじれ状態」が、2015年の1月から4年以上続いているのです。
「素材が安いはずのプラチナリングの方が高いのは、ひょっとしてぼったくり?」と考えてしまうのも無理もありません。高級なイメージを良いことに原価の安いプラチナの指輪に高値を付けていると思う人もいるでしょう。
でも、これは誤解です。
ちゃんとプラチナの指輪の方が原価がかかっています。
それでもプラチナの指輪の方が高い理由
主に4つの理由があります。
プラチナリングの方が純度が高いから
ブライダルリングとして販売される指輪には、純度の高い貴金属が使われます。
日本ジュエリー協会がプラチナジュエリーと呼称するには85%以上の純度(Pt850)が必要と定めています。
実際マリッジリングに使われているプラチナの純度は、90%(Pt900)か95%(Pt950)がほとんどです。
対してゴールドの純度は75%(Au750)です。
18金、K18という呼び方の方が馴染みがありますが、これも純度75%のゴールドを意味します。
例えば、5gの指輪ならプラチナは4.75g(Pt950の場合)、ゴールドは3.75g(K18の場合)使われているという計算になります。
プラチナの方が比重が重いから
金属には比重というものがあり、同じ体積でも重さが違います。
純プラチナの比重は21.24~21.66、純金の比重は19.13~19.51。
1平方センチメートルあたりプラチナはおよそ21gですが、ゴールドはおよそ19gということです。
もしも純度100%で同じ形の指輪をつくったとしても、ゴールド製の指輪の方が軽くなります。
ちなみにPt950の指輪は、K18の指輪のおよそ1.3倍の重さになります。
加工するのが難しいから
物質が溶けて液体になりだす温度を融点と言いますが、金の融点が1,064℃、プラチナの融点は1,769℃。溶かすだけでも大変なんです。
最近では硬度を高めたハードプラチナも人気があり、より加工技術が求められています。
当たり前ですが、材料費だけで指輪の値段が決まるものではありません。
熟練した技術者の手作業によって仕上げられているため、加工の手間がかかれば販売価格に影響するのが道理です。
高くても売れるから
ここまでの解説はなんだったと言われるかも知れませんが、物の価格は需要と供給で決まります。
「売りたい」と「買いたい」のバランスです。
プラチナのマリッジリングは、ゴールドのマリッジリングより高くても売れるのです。
高い価格に納得している人がいるから、今の値段で売れるというわけです。
なので、もしプラチナの相場が今の半分になったとしても、みんなが納得しているうちはプラチナリングの価格が下がることはないでしょう。
資産価値や原価を気にしすぎない
グレードの高い大きなダイヤモンド付きのエンゲージリングならまだしも、マリッジリングの買い取り価格はせいぜい1~2万円です。
小さなメレダイヤモンドが入っていても変わりません。財産というほどのものではないんです。
いざという時のために、資産価値のある素材を選ぼうと思ってもあまり意味はありません。
プラチナの指輪の方がゴールドよりも地金の費用がかかっているのは事実ですが、原価率は低いです。
指輪にして売るには、デザインして加工してお店に並べて宣伝して接客する必要がありますよね。
そういった費用の分も指輪の値段にプラスされているんです。
銀座にお店を出したり、ゼクシィに掲載したり、女優をCMに使ったり、莫大な費用がかかっています。
それがいわゆるブランド代というわけです。
さらに、アフターサービスにもお金がかかります。
アフターサービスが無料というブランドもありますが、要するにその費用も指輪の価格に含まれているんです。
なんでも原価で損得を考えても楽しくありません。
500円のケーキなんて、材料費はせいぜい数十円です。
それでもおいしければ何の文句もありませんよね。
指輪も原価よりも、あなたやパートナーが気に入るかどうかが一番大切です。