彫金教室の体験レッスンで、槌目(つちめ)模様の指輪を「鍛造製法」で作ったのでレポートします。
今回はシルバーのペアリングでしたが、プラチナやゴールドの結婚指輪の場合も、鍛造での作り方は同じです。
工房によって作業工程は微妙に違いますが、だいたいこんな感じです!
体験レッスンのフォトレポート
持ち物はエプロンのみ
自前のエプロンを装着します。その他、特に必要な持ち物はありません。
工房によっては、エプロンも用意してくれているところもあります。
ほとんどの工房で、写真のように作業机に細い板がにょーんと設置されています。
この板の先端部分で作業します。削ってしまっても構わない板ですね。
まずは自分の指のサイズを、リングゲージを使って測ります。
きつめが良いのか、ゆるい方が良いのか考えて、サイズを決定します。
ぴったりのジャストサイズが基本ですが、むくみやすさや指の形によっておすすめが違います。
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地金の素材を切って曲げる
指輪のサイズに合わせ、金属の素材「角棒」を少しずつゴリゴリと切断します。
工房によっては、角棒を叩いて伸ばす作業があります。
そのときに、焼き鈍し(やきなまし)といって、一度金属を加熱して柔らかくします。
ケイウノでは「圧延ローラー」という機械に何度か通して平らにのばします。
SORAでは、金属を溶かして地金をつくるところから体験できますが、ほとんどの工房では角棒からのスタートです。
丸くするのが意外と難しかったです。鉄芯棒と木槌を使って丸くする工房もあります。
簡単に曲げられる専用の機械が用意されていることも。
丸めた金属のつなぎ目の部分に、もう一度糸鋸を入れてからまた丸めると、接触部分がぴったりとくっつきます。
糸鋸を入れなくても接合面に隙間が少なければ良いので、わざと楕円形にしてくっつける工房もあります。
プラチナなど高価な素材のときは、少しも無駄にしないように削らないで作るのかもしれませんね。
バーナーでロウ付け(溶接)
つなぎ目の隙間がほとんど無いのがわかりますね。
ピンセットに固定して、クライマックスとも言える「ロウ付け」という溶接の工程に入ります。
つなぎ目に、どろっとしたペースト状のフラックスというものを塗ります。
ロウが流れやすくなるとのこと。
その上に小さくカットした銀ロウを置き、ガスバーナーで加熱します。
つなぎ目から遠い部分から加熱していくと、熱が伝わりフラックスがぶくぶくと泡立ちました。
指輪全体を加熱していくと、銀ロウが溶け出します。
元の素材とそっくりだけれど、ほんの少しだけ溶け出す温度が低い金属を使うんですね。
溶けた金属は、毛細管現象で狭いところに流れ込みます。
ロウが溶けたらすぐに指輪から火を離します。
加熱しすぎると、指輪自体が溶けてしまうからです。
溶接した部分を、やすりでゴリゴリと削って滑らかにします。
いったん磨きます
モーターで高速回転する「リューター」という道具(研磨機)でさらに磨いていきます。
スポンジ状の先端を、より目の細かい先端に変えてさらに磨いていきます。
今回は槌目模様を付けるので、ここから通常の平打ちリングとは違う工程に入ります。
槌目の模様を打ち込む
鉄芯棒に指輪を通し、先端の丸まった金槌で叩いていきます。
槌目模様が付くのと同時に、指輪のサイズが広がっていきます。
目指すサイズに広がるまでに、全体に槌目模様が入るように。
けっこう強めに打たないと、模様が浅くなってしまいます。
通常の平打ちリングの場合は、木槌などでサイズ調整します。
ピカピカに仕上げる
またリューターで優しく磨きます。
槌目模様を削ってしまわないように。外側だけで無く内側も磨きます。
汚れや研磨剤を超音波洗浄機で綺麗に洗い落とします。
洗浄器から出てくると輝きが違います。
写真では分かりにくいかもしれませんが、ハッキリと槌目模様が入っています。
私たちの場合は、槌目模様を入れるところは自分たちでやりました。
様々な追加オプション
自分で刻印を入れる工房も多いです
お世話になった彫金教室では、最後に内側の刻印を職人さんに彫ってもらうシステムでした。
時間に余裕のある結婚指輪のDIYの場合は、自分たちで刻印を入れられることが多いです。
タガネという道具を金槌で叩いて文字を打ち込みます。
アルファベット、数字、&、toなどの記号が選べることが多いです。
あまりたくさんの文字は打ち込めません。
刻印を入れるタイミングも様々です。
角棒の状態のときに打ち込むところもあれば、指輪ができあがって最後に打ち込むところもあります。
直筆の手書き文字をレーザー刻印してくれるところも。
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石留め・彫り加工など
結婚指輪の場合は多くの工房で、裏石(シークレットストーン)としてダイヤや誕生石を入れられます。
表面にタガネ彫りで模様を入れてもらえるところも。
他にも、ケイウノではミル打ちも可能です。
いずれも有料のことが多く、職人さんに作業をお願いして後日の受け取りとなります。
今回お世話になった工房
お世話になったのは、東京都西東京市ひばりが丘にある「森の彫金教室 goutte dor」です。
アトリエにはショールーム&ショップ(要予約)が併設されていて、ジュエリーの展示販売も行っています。
お洒落な木製のショーケースも、手作りだそうです。
今回はカップルで作るシルバーリングのコースで、オプションで槌目模様のリングにしました。
体験レッスンの内容は、2018年時点のものです。
その他の指輪の製造方法
グートドールでは結婚指輪も作ることができますが、その場合は「鍛造」ではなくワックスを削って作る「鋳造」になります。
その他の結婚指輪を自分たちでつくれる工房でも、「鍛造」か「鋳造」のどちらかを選ぶことになるでしょう。
それぞれの違いについてはこちらをご覧ください。
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